※この記事は個人の体験談です。医療的判断は必ず担当医にご相談ください。
「絞っても滲む程度だった母乳が、まさかこんなに変わるなんて。」
授乳って、産んだら自然にできるようになるものだと思っていませんか?私も妊娠中はそう思っていました。でも実際は、検索魔になるくらい悩んで、涙して、少しずつ形になっていったものでした。
このブログでは、私が経験した授乳にまつわる出来事を「授乳事件簿」として全5話でお届けします。買い物レポではないので節約や商品紹介はできませんが、同じように悩んでいる方の心が少しでも軽くなればと思って書いています。
第1話は、産んだ直後、絶望的なくらい母乳が出なかった話からです。
「産んだら出る」は勘違いだった
私は妊娠中期の保健面談で乳首の状態を確認してもらい、指導を受けました。それ以降は、気が向いたときにお風呂で軽くマッサージする程度。正直、「まあ産めばそのうち出るでしょ」くらいに思っていました。
これが大きな勘違いだったと知るのは、産後すぐのことです。
プランターの例え話
入院中、産婦のケアをしながら、個人でも開業して家庭に呼ばれておっぱいケアをしている助産師さんに担当していただく機会がありました。この方から聞いた例え話が、その後の私の授乳生活すべての土台になっています。
「出産直後は、左右の乳房にそれぞれ5個ずつ、合計10個のプランターがある状態。何もしないと、そのプランターは徐々に減らされていく。つまり開花につながらなくなる。だから今から種まき・水やりを毎日途切れなくやらなければいけない。赤ちゃんが欲しがるたびに、欲しがらなくても、授乳して吸ってもらうケアを継続することで、初めて自分の乳房が出せる最大量の母乳が出るようになる」
産んだら自動的に出るのではなく、「最初の2週間、継続的に頻回授乳をするかどうか」で、その後の潜在的な母乳量そのものが決まってしまう。逆に言えば、始めるのが遅れたり頻度をサボったりすると、本来出せたはずの量まで届かないまま終わってしまう、ということです。
これを聞いて本気で焦った私は、とにかく頻回授乳を心がけました。3時間に1回なんて悠長なことは言っていられず、多い日は1日15回以上、赤ちゃんに吸わせていました。

それでも、絞っても滲む程度
正直に言うと、この頑張りは最初の2〜3日ではまったく実りませんでした。それどころか、赤ちゃんの体重が生理的体重減少の範囲を超えて減りかけ、おしっこがレンガ色っぽくなっていることに助産師さんが気づき、測ってみるとビリルビン値が高めだと判断されました。
ここで、頻回授乳に加えて「コップ授乳」が追加されることになります。1回20mlくらいをこぼしながら、10〜15mlを1日数回。哺乳瓶を使わなかったのは、「哺乳瓶は飲みやすいから、慣れると乳頭混乱のきっかけになりかねない」とプランターさんに言われたからです。多少こぼれても、コップのほうが後々を考えるとベターだと。
とはいえコップだけだとこぼす量も多く、退院が近づく頃には1回の哺乳量も少し増えてきていたので、若手の助産師さんから、普通のベビー用品店では買えない、母乳育児に寄せていくための哺乳瓶用乳首「母乳相談室」(Pigeon)を紹介してもらいました。先端が潰れた二等辺三角形のような独特の形をしたものです。当時は普通の丸い乳首の存在も知らなかったので、疑問も持たずにそのまま使っていました。
退院間際、この乳首を使って「最初の1週間は1日4回で合計200ml追加」という計算をしてもらい、その通りに進めました。当時はまだ母乳にリズムなんてなかったので、
赤ちゃんが泣く → 授乳開始 → 「この回でミルクを足すかどうか」を考える → 足すと決めたら夫に大急ぎでミルクを作って冷ましてもらう
というサイクルを繰り返す毎日でした。
退院した時点での実感は、正直「絞って絞って痛いくらい絞って、やっとじんわり滲んでくる」程度。赤ちゃんにひもじい思いをさせていると思うと、本当に情けなかったのを覚えています。

半年後、まさかの軽く「だっちゅーの」するだけで滴る状態に
ここからは希望を持って読んでいただきたいのですが、私は完全に「後から伸びるタイプ」でした。生後半年を過ぎた頃には、お出かけなどで半日吸わせずにいると乳房がパンパンになり、腕で軽く押しただけでダラダラ出てくるくらいの生産量になっていたんです。
プランターさんの言葉を借りるなら、「乳腺がない」などの物理的にどうにもならない理由がある人以外は、最初の2週間の努力次第でちゃんと出るようになる。これが、この事件簿で一番伝えたいことです。
始まったばかりの頃は、私も「もう無理かもしれない」と何度も思いました。でも、諦めずに頻回授乳を続けたことが、半年後の自分を助けてくれたのだと思っています。
次回は、産院の母乳外来と、この記事にも登場したプランターさんに実際に家へ来てもらった時の話、そしてそこから思いがけずつながった「ある紹介状」の話をお届けします。
※本記事に記載している通院回数・費用・経過などは、全て筆者個人のケースです。症状や治療方針には個人差がありますので、疑問や不安がある場合は必ず担当医や専門機関にご相談ください。

コメント