※この記事は個人の体験談です。医療的判断は必ず担当医にご相談ください。
不妊治療には、いったいいくらかかるのか。
治療を始める前の私は、具体的な金額がまったく想像できませんでした。
実際に治療を経験してみると、保険診療でも検査や通院が重なれば、それなりの金額になります。そして体外受精まで進むと、採卵・培養・凍結・移植など複数の工程があり、費用は一気に大きくなりました。
この記事では、私の支払い記録をもとに、タイミング法、人工授精、体外受精など、それぞれにいくらかかったのかを公開します。
なお、私は治療をお休みしていた周期に妊娠しました。その経験も含めて、77万円を使ったあとだからこそ思うことを書いていきます。特に高い体外受精の費用はいくらか、保険適用は何回までか、そしてタイミング法や人工授精の費用はいくらだったかを、774,230円の内訳とともにまとめます。
※この記事は個人の体験談です。治療内容や費用は年齢、治療方針、医療機関、保険適用の条件などによって異なります。現在の制度については、必ず公的機関や受診先でご確認ください。
私が不妊治療に支払った総額は774,230円
結論から言うと、私が不妊治療関連で実際に支払った金額は、合計774,230円でした。
この金額には、最初の検査からタイミング法、人工授精、採卵、胚の培養・凍結、複数回の胚移植、移植後の診察、追加検査など、治療の過程で支払ったものを含めています。

ただし、これはあくまで私の場合の金額です。
不妊治療は、どの検査を受けるか、どの治療まで進むか、薬や注射をどのくらい使うかなどによって費用が大きく変わります。
また、私が治療を受けた時期と現在では、保険適用や助成制度の内容も異なります。
そのため、774,230円を「現在の不妊治療の相場」としてではなく、実際に治療をすると、費用がこのように積み上がることがある一例として読んでください。
77万円の内訳を公開します
| 治療・検査 | 支払額 |
|---|---|
| 初診・初期検査 | 38,500円 |
| タイミング法 | 23,650円 |
| 人工授精 | 33,750円 |
| 採卵・培養・凍結など | 301,030円 |
| 胚移植関連 | 271,590円 |
| 妊娠後の診察 | 16,990円 |
| 妊娠後の処置・検査など | 27,810円 |
| フローラ検査 | 44,410円 |
| 助成申請のための文書料 | 16,500円 |
| 合計 | 774,230円 |
こうして一覧にしてみると、タイミング法や人工授精よりも、やはり体外受精に進んでからの費用が圧倒的に大きいことがわかります。
タイミング法は約2.4万円。ここではまだ大きな負担とは感じなかった
私がタイミング法で支払った金額は、合計23,650円でした。
超音波検査、排卵を促す薬、血液検査、卵管の状態を確認する検査などが含まれています。
1回ごとの支払いを見ると、数百円〜数千円程度のものもありました。
そのため、この段階では「不妊治療ってものすごくお金がかかるんだな」という感覚は、まだそれほどありませんでした。
ただ、タイミング法も1回の受診で終わるわけではありません。
排卵の状態を確認するために複数回の通院が必要になることもあり、受診回数が増えれば、その分だけ費用も積み上がります。
なお、初診・初期検査(夫の精子検査を含む)の38,500円は、上の表の「初診・初期検査」に入れています。「タイミング法」の23,650円は、2周期目(卵管造影検査・排卵を促す薬・超音波検査・血液検査)の金額です。詳しくは、タイミング法の体験記にまとめています。
人工授精は3回で合計33,750円
タイミング法の次に進んだ人工授精では、3回で合計33,750円かかりました。
人工授精そのものだけではなく、排卵を促す薬、排卵を確認する検査、超音波、注射なども含まれています。
私の場合、1回ごとの支払いは、1回目が13,130円、2回目が8,530円、3回目が12,090円でした。排卵を促す注射を使った1回目と3回目のほうが、使わなかった2回目より高くなりました。
ここで実感したのは、「人工授精=1回○円」と考えるだけでは、実際の費用はわからないということです。
その周期にどんな検査や薬が必要になるかによっても、支払額は変わりました。
人工授精についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
体外受精の費用はいくら?採卵・培養・凍結で約30万円、移植は約27万円
そして、私が「不妊治療ってかなりお金がかかる」と強く感じたのが、体外受精に進んでからです。
採卵・培養・凍結などにかかった費用は、合計301,030円。
さらに胚移植関連で271,590円かかりました。
この2つを合わせると、体外受精に関連する費用だけで572,620円です。
私が支払った774,230円のうち、かなりの割合が体外受精関連に集中していました。
体外受精は採卵だけで終わらない
体外受精は、単純に「採卵して終わり」という治療ではありません。
一般的には、採卵、受精、胚の培養、凍結、胚移植というように複数の工程があります。
私の場合も、採卵のための通院や薬・注射、採卵そのものに加えて、その後の胚の培養や凍結などに費用がかかりました。
また、採卵した卵子や、その後にできた胚がすべて移植まで進むわけではありません。
そのため、体外受精を始める前に「移植1回分はいくら」とだけ考えてしまうと、実際の支払額とのギャップが大きくなる可能性があります。
胚移植は1回ごとに数万円。回数が増えるほど負担も大きくなった
私が支払った胚移植関連の費用は、移植ごとにまとまった金額になりました。
移植前の採血や薬、超音波、移植時の処置などがあり、さらに周期によって追加の処置や技術にかかる費用もありました。
4回の移植に関係する支払いに加えて、お休み周期の超音波2,710円なども含め、胚移植関連では合計271,590円になっています。
「胚移植そのものはいくらなのか」だけではなく、移植までに必要な診察や薬なども含めて考える必要があると実感しました。
体外受精の移植についてはこちらの記事にまとめています。
アシステッドハッチングは保険適用で約3,000円
胚移植4回のうち、2〜4回目ではアシステッドハッチングを追加しました。当時のクリニックでは、これまで妊娠に至らなかった場合に限り保険診療で追加でき、1回約3,000円でした。こちらも詳しくは、移植周期の体験記にまとめています。
体外受精の保険適用は何回まで?回数制限(40歳未満は6回)と自己負担
2022年4月から、タイミング法や人工授精などの一般不妊治療、体外受精・顕微授精などの生殖補助医療について、一定の条件のもとで保険適用が始まりました。
現在は基本的な治療について、自己負担は原則3割です。
ただ、保険適用になったからといって、自己負担が小さいとは限りません。
検査、診察、薬、注射、採卵、培養、凍結、移植など、治療が進めば複数の費用が発生するからです。
また、体外受精・顕微授精には年齢や胚移植回数の条件があります。
こども家庭庁によると、治療開始時の女性の年齢が40歳未満の場合は1子につき胚移植6回まで、40歳以上43歳未満の場合は3回までです。
一方、タイミング法や人工授精などの一般不妊治療には、保険適用上の年齢・回数制限はありません。
保険適用の詳細は、こども家庭庁「保険適用について」で確認できます。
制度は変更される可能性があるため、実際に治療を始める際は最新情報を確認してください。
保険適用外の検査・先進医療(自費)で、さらに費用が増えることもある
不妊治療の費用を考えるとき、もう一つわかりにくかったのが、保険診療以外の費用です。
私の支払い記録にも、タイムラプス培養、SEET法、フローラ検査など、保険診療とは別に費用が発生したものがあります。
現在の制度では、一定の条件を満たす先進医療について、保険診療と組み合わせて実施できる仕組みがあります。
ただし、先進医療にかかる費用そのものは保険外となり、全額自己負担です。
ここは「自費の検査を受けたら、治療全体がすべて自費になる」と単純に考えないことも大切です。
保険診療と保険外診療の併用にはルールがあり、先進医療など制度上認められた組み合わせがあります。
先進医療の詳細は、厚生労働省「先進医療の概要について」で確認できます。
また、東京都では現在、保険診療の生殖補助医療と併用した先進医療などを対象とした助成制度があります。
助成制度は治療を開始した時期によって対象範囲が異なるため、治療開始前に最新情報を確認しておくことをおすすめします。
高額療養費制度も使いました
高額療養費制度も利用しました。加入している健康保険組合からお知らせが来たことで知りました。
この制度のことを全然知らなくて1か月以上放置してからの申請でしたが、申請から1か月かからずに振り込まれていました。
なお、私は民間の医療保険には加入していなかったため、民間保険の給付金は受け取っていません。
お金だけではなく「時間」も使った
不妊治療の負担を考えるとき、私は「診察代」だけではなく、通院に使う時間も大きかったと感じています。
卵胞の状態を確認するための超音波、採血、薬や注射、採卵、移植など、治療の段階によって受診が必要になります。
特に体外受精では、治療そのものだけでなく、薬や通院スケジュールを管理する必要もありました。
厚生労働省も、不妊治療と仕事の両立が難しくなる理由として、通院回数の多さ、精神面の負担、通院と仕事の日程調整の難しさなどを挙げています。
不妊治療と仕事の両立については、厚生労働省の情報も参考になります。
不妊治療を考えるときは、
- 治療費はいくらくらいか
- どのくらいの頻度で通院するのか
- 急な受診に対応できるか
- 仕事や家庭との調整はできるか
- 先進医療や自費検査を利用する可能性はあるか
まで含めて考えておくと、治療開始後の負担をイメージしやすいと思います。
私も「お休み周期に妊娠した」という経験をしました
不妊治療中、私は「治療をお休みしていたら妊娠した」という体験談を何度も目にしました。
治療がうまくいかず、「この先どうしたらいいんだろう」と思っていた私にとって、そうした話は励みになっていました。
そして私自身も、治療をお休みしていた周期に妊娠しました。
もちろん、これはあくまで私自身の経験です。
「不妊治療を休めば妊娠しやすくなる」という意味ではありませんし、治療を続けることが必要な方もたくさんいます。
ただ、治療中は「次は何をすればいい?」「もっと検査したほうがいい?」「もっと治療を進めたほうがいい?」と、どんどん先へ進みたくなることがあります。
そんなときに、「いったん休む」という選択肢もあると知っているだけでも、少し気持ちが楽になることがあると思います。
私も当時、そうした体験談に励まされていました。
だから今度は、自分の経験も誰かの参考になればと思い、この記事に書いています。
77万円を使った私が、今振り返って思うこと
774,230円という金額を改めて集計してみると、正直「こんなに使ったのか」と思います。
不妊治療の支払いは、最初から77万円を支払うわけではありません。
数千円、数万円という支払いが少しずつ積み重なって、気がつけば大きな金額になっていました。
だから、治療を始める前の自分に伝えられるなら、
「治療費は、思っているより積み上がるよ」
とは伝えたいです。
一方で、だからといって「不妊治療なんてしないほうがいい」と言いたいわけではありません。
不妊治療を受けるか、どこまで進むか、どんな検査や治療を選ぶかは、その人の年齢や体の状態、希望、生活環境によって違います。
私自身も、治療を経験したからこそ知れたことがたくさんありました。
結果だけを見れば、私にとって77万円はかなり大きな負担でした。
でも、その経験そのものまで「全部無駄だった」とは思っていません。
だからこの記事で伝えたいのは、
「77万円もかかったから、不妊治療はやめたほうがいい」
ということではありません。
むしろ、
「治療にはこれくらいのお金がかかる可能性がある。だからこそ、費用や制度、治療の選択肢を知ったうえで、自分にとって納得できる治療を選んでほしい」
ということです。
そして、治療を続けるだけではなく、「少し休む」という選択肢もあります。
不妊治療を始める前に、私なら確認したいこと
もし今から不妊治療を始めるなら、私は次のことを確認します。
保険適用になる治療はどこまでか
「この治療は保険ですか?」だけではなく、検査・薬・処置まで含めて確認します。
1周期あたりの費用はどれくらいか
タイミング法、人工授精、採卵、移植など、それぞれの段階で費用の目安を聞いておきます。
先進医療や自費のオプションは何があるか
必要になった場合、どのくらい追加費用がかかるのか確認しておきます。
助成制度は利用できるか
国や自治体の制度だけでなく、健康保険の高額療養費制度や、加入している健康保険独自の給付なども確認します。
仕事や生活と両立できるか
治療費だけでなく、通院回数や急な受診への対応も考えておきます。
「いくらかかるか」だけではなく、「自分はどこまでなら負担できるか」を考えておくことも大切だと思います。
まとめ:不妊治療の費用は「治療費だけ」で考えない
私が不妊治療関連で実際に支払った総額は、774,230円でした。
内訳を振り返ると、
- タイミング法:約2.4万円
- 人工授精:約3.4万円
- 採卵・培養・凍結:約30.1万円
- 胚移植関連:約27.2万円
- その他:約14.4万円
という結果でした。
特に大きかったのは、やはり体外受精です。
保険適用によって負担が抑えられる一方で、体外受精は複数の工程があり、先進医療や自費の検査を組み合わせることもあるため、自己負担が大きくなる可能性があります。
そして、不妊治療で負担になるのは、お金だけではありません。
通院にかかる時間、仕事や生活との調整、治療を続ける精神的な負担などもあります。
私自身は、治療をお休みしていた周期に妊娠しました。
その経験があるからといって、「治療を休めば妊娠する」とは思いません。
ただ、不妊治療中に「休む」という選択肢を知っていることも、決して悪くないと思っています。
私も治療中、そうした体験談に励まされました。
この記事が、これから不妊治療を始める方にとって、費用を考える材料のひとつになればうれしいです。
※本記事に記載している通院回数・費用・経過などは、全て筆者個人のケースです。症状や治療方針には個人差がありますので、疑問や不安がある場合は必ず担当医や専門機関にご相談ください。

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